*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語

二人は物陰に隠れながら、衛兵たちの目を盗んで移動する。





東の対の中門廊のあたりまで来ると、灯は白梅を振り向いて、ここで待つように手振りで示した。



白梅は頷き、植え込みの陰に隠れた。





灯が騒ぎを起こして十分に人々の注意を引きつけたと判断したら、急いで群雲たちのもとに戻るのだ。



そうして、群雲は皆を率いて邸に入り、騒動の裏でお宝を頂戴するという算段だ。





白梅がすっかり身を隠したことを確認すると、灯は野生の小動物のような素早さで寝殿の方へと駆け出した。






寝殿の廂へひっそりと侵入すると、灯は唐突に屏風を引き倒した。




鋭い騒音が、夜闇を切り裂くように響き渡る。




途端に、左近の大将殿の邸は大騒動となった。