*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語

「………黒松が戻ったら、すぐに動くぞ。


心の準備をしておけよ」





群雲が抑えた声で言うと、四つ子たちは声もなく頷いた。





そのとき灯が、ぴくりと反応を見せた。



鼻を微かに動かしながら、呟く。





「………黒松が来る」





その言葉通り、しばらくすると、墨染の衣で闇に溶け込んだ黒松が、足音もなくやって来た。






「ーーー大将殿のお邸は、皆おおかた寝静まったようです。


周りの家にも、人の声も明かりもありません」





「そうか。


いよいよだな」





群雲が言うと、四つ子たちは背筋を伸ばした。




青竹と白梅は励ますように、糸萩と楪葉の肩に手を載せた。