*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語








望月にほど近い十三夜の月が、深藍の夜空に輝いている。






白縫党の頭領群雲。



その腹心の、男三人衆ーーー内偵の黒松、大力の青竹、駿足の白梅。



そして、灯と、四つ子たち。






それが今夜の仕事の顔ぶれである。





彼らは夜闇に身を隠すように、白縫山の鬱蒼とした森の中を、都のある東へと、馬を駆っていく。






「糸萩と楪葉はちゃんとついて来てるか」





群雲がちらりと後ろを振り返りながら、黒松に訊ねた。




それを耳聡く聞いた糸萩は、不満そうな声を上げた。





「僕ら、ちゃんと毎日走り込んで鍛えてるんだから!


ぜんっぜん平気だよ!!」





「そうよそうよ!」





群雲は苦笑して「すまんすまん」と返した。





「でも油断は禁物だぞ。


本番は何か起こるか分からない、常に気を引き締めておけよ」





「はぁーいっ!!」





糸萩と楪葉が声を揃えて答えた。