*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語








塗籠の褥に横たわった汀は、小さく息を吐いた。




その薄花色の瞳は、見開かれているものの、何も映していないようだ。







(…………あぁ。


どうしよう、上手く振る舞えなかった)







汀は、兼親と芳正の前で、相応しい振る舞いをできなかったことを、後悔していた。






(もっと、喜びを顕わに、感謝の言葉を申し上げなければならなかったのに。



分かっていたのに………できなかった)






汀はゆっくりと目を閉じて、もう一度、深く溜め息をついた。






夜着を引き寄せ、頭まですっぽりと被る。





(ーーーあ。



…………蘇芳丸のにおいがするーーー)