*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語

「それでな。


大納言どのは、春宮さまの女御として相応しい姫君を、長年さがしておられるのだ」





「…………」





汀は先ほど覚えた不安を、さらに胸中で大きくする。





「つまり………」





兼親はこほんと咳払いをして、喜びを隠しきれないような声音で言い募る。





(…………まさか………)





汀は几帳の陰で身を硬くした。






「大納言どのが、ひいては春宮さまがーーー。



六の君、お前をーーー」





汀はごくりと唾を飲みこんだ。







(…………まさか、まさかーーー)