汀が青丹丸を飼いはじめてから、約十日が経った。




初めは周囲の人声や物音などにびくびくしていたが、今はすっかり慣れて、北の対じゅうを走り回っている。




特に汀にはよく懐き、名を呼ぶと、飛ぶようにやって来るのだ。





汀は青丹丸に夢中で、四六時中そばに置いている。





青丹丸は、庭に下りて土だらけになった足で母屋に上がってきてしまうので、はじめ雑仕女たちは困り果てていた。




しかし、たらふく食べてみるみる太っていった青丹丸が、まんまるの身体で飛んだ走ったりする愛嬌あふれる姿に、皆いつの間にかすっかりほだされてしまった。





今や青丹丸は北の対の人気者として、身分の上下を問わずに微笑ましく見守られている。