「都に行ってたのか」




「…………」





灯は答えずに肉を食べはじめる。





「………もしかして、二条の右大臣殿のところか?」





群雲が低く訊ねると、灯は目を瞠った。




口を開いたまま、肉を持つ手をゆっくりと下ろす。





「………な、なぜ、そんなことを思う」





珍しく動揺した様子の灯に、今度は群雲の方が目を丸くした。





「いや………なんとなく、訊いてみただけさ」




「………変に勘ぐるなよ」





灯は目を背けて、気まずそうに呟いた。