*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語

「………しかし、何だってお前、その右大臣の六の君のことなんて訊くんだ」




群雲の言葉に、灯は困ったように眉を上げる。




「………いや、まあ………」




「あぁ、そうか」




そこでふと群雲は指を鳴らした。




「お前、右大臣のお邸にいたんだったな。


もしかして、その六の姫君に助けてもらったのか」




「………あぁ、まあな」




灯がもごもごと答える姿を見ながら、群雲は首を捻る。




「しかし、他人の噂話になんぞとんと興味を持たないお前にしちゃ、珍しいな」




「………いや、大したことじゃないんだ、忘れてくれ」




「ふむ?」




話を打ち切るように盃を飲み干した灯を、群雲は怪訝な表情で見つめていた。