*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語

ぐいと腕を引かれて、汀は立ち上がる。





少しよろけたところを、灯が抱きとめた。





そしてそのまま、ひょいと抱き上げられる。







「きゃ………っ?」







汀が目を丸くして小さく叫ぶ。





しかし灯は構わず、汀を両腕に抱いたままひょいと庭に飛び降りた。






驚きのあまり硬直している汀を抱えなおし、しっかりと引き寄せると。






地につきそうなほどに低く腰を落として片膝をつき、ばねのように大きく跳び上がった。








「………きゃあぁーーーーっ!!」








風を切るような跳躍に、汀は目を瞑って叫ぶ。






しかし、次の瞬間には、すでに屋根の上だった。