*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語

「…………ぁあ………」







苦しげな汀の声に、灯は舌打ちをする。





少し戸惑ってから、ゆっくりと身を起こし、夜着に包まった汀の身体の側に手をついた。







「…………大丈夫か、お前………」







その顔を覗き込みながら、小さく囁きかける。









「…………おい、お前…………。




ーーーーーみ、ぎわ………?」









初めて、その名で呼びかけた。








「…………汀」








そっと手を伸ばし、頬にそっと触れる。





肌理の細かいその肌は、汗でしっとりと湿っていた。







「汀、大丈夫か」