*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語

「……………」





四方を帳に囲まれた仄暗い御帳台の中に、灯は目を凝らす。





夜闇に目が慣れると、夜着の中に埋ずもれている汀の姿が見えた。






帳の隙間から差し込む微かな月の光に、白い相貌が浮かび上がる。





しかしその額には、白露のような玉の汗が滲んでいた。





「……………うぅ……」





ときどき洩れる呻き声に、灯は眉根を寄せ、思わず声をかける。





「…………おい」