*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語








夜の帳が下り、二条邸は眠りについた。





汀も、御帳台の中の夜着に身を埋め、すやすやと眠っていた。





しばらくは安らかな寝息が続いていたが、不意に、苦しげな呻きが微かに洩れる。





「…………う、うぅ………」





汀は顔を顰めて寝返りをうった。






それでもまだ、寝苦しそうな呼吸が続いている。





「…………っ、う、あ…………」





再び寝返りをうち、唸る。






「…………ふ、………あぁ。



…………………まーーー」






小さな声だったが、縋るような声音は、今にも泣き出しそうに潤んでいた。