*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語

灯の頑なな拒否に遭って、汀はいじけ顔になる。







「………蘇芳丸のいじわる」






「………意地悪とかそういう次元の問題じゃない」







灯は頬をぴくぴくさせながら汀を睨みつける。








「いいわよーぅ、べつに。


嫌よ嫌よも好きのうち、って言うものね」







「………はっきり言って、大嫌いだ」







「そんなこと言っちゃって〜。


もう髪を梳いてあげないわよ?」







「…………こっちから願い下げだ」







「ふんっ! いいわよ!!


今日はご飯抜きよ!!」







「…………望むところだ」








汀はぶうっと頬を膨らませて、灯の矢傷の痕を突ついた。








「…………っ!!


陰険な奴だな!!」







「あははっ!!


どうとでも言いなさいな!!」








痛がる灯を見てからからと笑いながら、汀は膳を持って立ち上がり、塗籠を出て行った。