*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語

「…………なんというものを食わせるんだ、お前はっ!!」







涙目になった灯に睨みつけられ、汀は心の底から仰天する。







「えぇーーーっ!?


そんなはずないわ、美味しいはずよ!」







「………じゃあ、お前、自分で食べてみろよ」







灯は低く唸った。







「あら、いいわよ。


だって、いつも食べてるもの」








灯は険しい目つきで、強飯の器をぐいと押し付けた。






汀は全く理解できないとでも言いたげな顔で受け取り、一口食べる。







「…………どうだ、不味いだろう」





灯がじとりと睨む。







「…………なぁんだ。


やっぱり、美味しいじゃないの。


蘇芳丸ったら、冗談ばっかり!」








汀は花咲くような顔でにっこりと笑いかけた。