*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語

灯は強飯を箸にとり、小皿に盛られた塩につけて口に入れた。







「蘇芳丸、おいしい?」






「…………」







無言でもくもくと咀嚼し、飲み込む。





再び強飯をとると、今度は醤(ひしお)につけて、怪訝そうにじろじろと眺めてから、食べた。








「それはね、醤っていう調味料よ。


大豆にね、小麦でつくった麹と食塩水を加えて醸造したものですって。



変わってるわよねぇ」







「……………」







「私も、ここに来て初めて食べたのよ。



でも、なかなかおいしいでしょう?」







「……………あぁ」








灯が小さく頷く。





思いがけない反応に、汀は嬉しそうに顔を綻ばせた。