*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語








「すおーまろー?


ごはんよー」







妻戸をがらりと開き、膳を持った汀が塗籠に入ってきた。







「………………」








灯は黙って褥から起き上がり、胡座をかいた。







「今日はねぇ………なんと!



蒸鮑と煮海老よ!


それに酥(そ)まであるのよ!



豪華でしょう?


あなたの具合がすっかり良くなったから、お祝いよ!」







「………………」








灯の無愛想な態度にもすっかり慣れ切った汀は、気にすることなく膳を畳の傍らに置いた。







「私の分の膳も持ってきたから、一緒に食べましょう」







汀はにっこりと仏頂面に向かって笑いかけた。