*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語

「………蘇芳丸って、鼻がきくのねぇ。



そういえば、さっきも、ずいぶん遠くから足音が聞こえていたみたいだし」







「…………そうか?」








灯は眉をひそめて首を捻った。








「そうよ。


私には全く分からないもの。



あなた、すごいわね、蘇芳丸!」








汀はにっこりと笑い、灯の頭を撫でた。








「…………なにをする。


犬ころ扱いをするな、とあれほど………」







「いいじゃないの、褒めてるんだから!


素直に喜びなさいな」







「……………」








灯は複雑そうに顔を歪めつつ、黙って撫でられていた。