*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語

「え…………?



蘇芳丸、あなた………分かるの?


塗籠の中にいて、ここにある白湯の匂いが、分かったの?」







汀は白湯の入った杯を示した。




すると灯は、不思議そうな表情になる。







「…………?


………ああ。そりゃあ、分かるさ。


だって、水にだって匂いがあるだろう?」







汀と露草はさらに目を大きく瞠った。








「それは、確かに、水にも匂いはあるけど………。


でも、ほんの微かなものじゃないの」








「それに、その白湯は、鼎(かなえ)で沸かしたのだろう?


金物の匂いがついていたから、すぐに湯だと分かったよ」









汀も露草も、驚きのあまり言葉が出なかった。