*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語

そのとき、塗籠の妻戸ががらりと開いた。





露草が驚いて、びくりと肩を震わせる。




身を縮めて横目で凝視していると、灯が出て来た。








「あら、蘇芳丸。どうしたの?」








汀がうきうきした様子で駆け寄る。




灯は面倒くさそうに「白湯」と呟いた。







「え?」







汀が首を傾げると、灯は眉間に皺を寄せて言い募る。







「…………だから、白湯。


喉が渇いたんだよ」







「あら、そう?」







「今ここに、白湯があるだろう。


水の匂いがする。


それを飲ませてくれ、と言ってるんだ」








その言葉に、汀と露草は目を丸くした。