金魚すくい



私は雄馬の腕に飛びついて必死に止めようとするが、なぜか優の表情は変わらず涼しげで。


むしろどこか暖かみすら感じる表情で雄馬を見つめていた。


すると、優の口元から言葉がこぼれ落ちた。



「ごめん」



ただそれだけ。


たったそれだけの言葉を優は放った。


それは更に雄馬の怒りを誘発させる。


瞳をカッと見開き、熱を帯びる。


……だけど。


雄馬はそのまま掴んでいた優のシャツを離し、私の手も振り払った。



よかった……。


ほっとしたのも束の間、雄馬は私の肩を強引に引き寄せ、



「俺は柚子とつき合ってる」



なぜかそう宣言した。