金魚すくい



人気のない校舎の裏。


影に身を隠すように校舎の壁に背中を預けている雄馬の表情は、相変わらず険しい。



「田舎にずっといたんだ」



険しい表情にも全く臆す事無く、優は爽やかな顔でそう言い返した。



「あんな突然にかよ」


「ああ」


「俺達に一言も言わずにか」


「ああ……俺自身も突然知らされたことだったから」



ーードン!



雄馬は拳を握り、背中の壁を力一杯殴りつけた。



「それでもその後手紙でも電話でも連絡できただろうが!なのにお前は……」


「雄馬っやめて!」



握り締めた拳は壁から離れ、優の胸ぐらを掴んでいた。