でも私は知っている。


雄馬が鼻の下を人差し指で掻く時は、やりたいって思ってる証拠だという事を。


ただ、さっきあんな事言った手前、雄馬はなかなか手を出せずにいた。



「ほら雄馬、一緒にやろうよ」


「柚子やめとけって。雄馬は出来ないのを見られるのが恥ずかしいんだから」



優の一言に雄馬の目の色が変わる。



「オイ優! 誰に言ってんだ」


「雄馬は俺に負けるのが恥ずかしくてしないんだろ? やらない、じゃなくてできないんだ」


「言ったなコラ!」



雄馬は私の隣にしゃがみ込み、おっちゃんから薄手の紙で出来た網を受け取ると私越しに優を睨む。



「優、勝負だ!」


「負けて泣くなよ」


「お前こそ!!」



そう言って2人は一斉に網を水に浸けた。