再び焦りが生じる。
ここはさすがに高いんじゃないかな……。
昨日のところとは違って、店の雰囲気がお上品だ。
しかも店内は空いていて、それがまた不安を煽る。
価格が高いから人が少ないのではないか。
まだ時間が早いから、もっと暗くなった頃に店の雰囲気に合った上品な客がやって来るんじゃないか。
なんて考えが頭を過る。
私は家から歩いて行ける距離にある、バイト先へ行く為の普段着。
洒落っ気など無く、むしろ家着に近い。
完全なる場違いだ。
……どうしよう。
するとバーテンダーのような格好をした男性店員が私達の元にやってきて声をかけた。
「いらっしゃいませ」
「予約している幸田です」
「お待ちしておりました。こちらでございます」
どうやら勉さんは予約までしていたようだ。
さすが、勉さん。
やる事がスマートだ。



