「はい、着いた。ここだよ」
言いながら勉さんはバイクを止めた。
私はバイクを降りて言われた方向を見上げる。
ここまでの道のり、あっという間だった。
ヘルメットを被ってるせいもあったが、バイクのスピードで過ぎ行く景色を目で追う暇は無く、
ただひたすらに勉さんの背中にしがみ付いていた私は、いつの間にか街に出て来ていたようだ。
「ここって、グランドビルですよね?」
「うん、そう。ここの最上階の店に一度行ってみたかったんだよね」
最上階……。
このビルって何階まであるんだろう。
遠目にしか見た事無かったんだけど。
……って、そこじゃなくって。
「最上階にある店って高いんじゃないですか?」
必死にお財布の中に今いくら入っていたか考える。
昨日のままだからそんなにあるわけじゃない。
絶対足りない気がする。



