扉越しに両親の会話が聞こえてくる。



「おかえり、早かったね」


「ええ、醤油を買いに行っただけだから。柚子はもう帰ってきたかしら?」


「ああ、帰ってきて疲れたからってもう部屋で寝ているよ」


「そうなの。もうあの子ったら……」



2人の会話はどんどん離れてゆき、今ではテレビの音が加わってもう聞こえない。


私はお腹を抑え、うずくまったまま静かに涙を流し続けた。