その時。


ーーカチャ。



「ただいまー」



その声は、私にとって一筋の光。


神の救いの手。


ーーママだ。


ちっ、と舌打ちする音が聞こえたかと思うと、もう一度私のお腹を蹴りつけた後、お義父さんは書斎の扉を開けた。


部屋を出て行き様、一度だけ振り返り、



「いいか柚子、これはお前が悪いんだぞ。お前が悪い子だから私は躾けてやっているんだ。

誰かにこの事を言って私を悪者にでもしてみろ……ただではすまんからな」



吐き捨てるようにそう言って、部屋の扉は閉められた。