恐怖で足がすくむ。 助けを求めるように、辺りを見渡して……。 「あの……ママは……?」 「今、買い物に出かけている」 そう言った口元が、ニヤリと歪んだのを私は見逃さなかった。 やばい。 逃げなきゃ。 本能がそう告げている。 だが、逃げるどころか足が動かない。 怖い。 誰か助けて。 血の気がどんどん足元へ向かって落ちてゆく。 手先が氷のように冷えて固まってゆくのが、自分でも分かる。 それなのに手の平はじわりと汗ばんでいた。