笑みを向けた私に対して、優も微笑みで答える。



「柚子、何が見たい? それともお腹減ってる?」


「えっとね、それじゃあ……金魚すくいしたいな!」



少し興奮気味にそう言った私は、優にがぶり寄った。


そんな様子に優は笑った。



「柚子は金魚が好きなんだな」



その言葉にお団子が揺れる。



「何でわかるの?」


「だって柚子、今日着てる浴衣の柄が金魚だから」



言われて自分が着ている浴衣に目を落とす。


白地に赤の小金と、たまに見え隠れする黒の出目金を描いた浴衣。



「これママが買ってくれたの。柚子は金魚好きだからって」



私は言いながら浴衣の袖を持ってクルクル回って浴衣を見せつけた。


ずっと着たいのを我慢してたんだもん……今日くらい存分に自慢したって、いいでしょ?