理由はわからないにしろ、言いにくい事だと言うのは察した上で、 「叶さんはその相手を好きなの?」 ズバリと確信をついた。 「……はい、好きです」 多分……。 今度ばかりはその言葉を零さず、グッと堪えた。 じゃないと、もっと話がややこしくなる気がして。 もっとも……自分の頭の中が、だけど。 「そっかー……」 勉さんが肩を落として落胆したように見えたのは、気のせいだろうか。 なんて、ね。 勉さんみたいな大人でモテモテな人が自分を選ぶ訳はない。 そう思って私は再び、パスタをすすった。