来ないで。


近寄らないで。


……ってそう思うけど、2人の前で、不審な動きを見せる訳にもいかない。


私は自らあの人の元へと歩き出した。



「うん……もう、大丈夫だから」


「そうだったのか……。今日はママもいないことだし、家の事も柚子に任せきりなのは心配だと思い急いで帰ってきたんだが、どうやらそうして正解だったみたいだな。

それじゃここからはお義父さんと一緒に帰ろうか、柚子」



ーー怖い。



「うん……」



小さく頷いて、2人に振り返る。



「ここまで送ってくれて、ありがとう」



脳がぐらりと揺れてる。


地面も歪んで見える……。


だけど必死に意識を保ち、笑顔をつくる。


突き刺さる優の視線にも笑顔で返して、私は……。



ーーこのまま地獄へと落ちてゆく。



そんな気がした。