「ぎゅう……」
「わっ、柚子!」
2人は慌てて離れ、私を解放してくれた。
くっ、苦しかった……。
「間に入るなよ。お前ちっこいんだから」
ひどい。
勝手にデカくなったのは雄馬の方なのに。
「柚子は体調悪いんだから座って安静にしておかないといけないよ」
そう言ってジェントルマン並みに私を労り、椅子へと促す優。
「ありがとう」
にこりと笑う優の顔がやけに眩しく見えた。
しかしすぐに雄馬の鉄拳が優の後頭部に直撃する。
そして2人はまた言い合いを始めるんだ。
とても仲良く。
昔のように戯れ合って。
今度はそんな2人の様子を観察する事にした。
今だけは。
少しの間だけ。
この幸せを噛み締めていたかったから。
この目に、脳裏に焼き付けていたかったから。
夜の恐怖に負けてしまわないように。
私の心が折れず、乗り越えられるようにーー。



