「ーーおかえりなさい」 優が帰ってきてから一度も言ってなかった言葉。 会えて嬉しいとか、ずっと待ってたとか。 それもそうだけど、その前に言わなければいけなかったんだ。 「言うの遅くなってごめんね」 私が笑って、優も笑う。 だけど夕日のせいだろうか。 優の瞳が少しばかり充血してるように見えたのは。 少しばかり潤んで見えたのは。 ーー少しばかり、切なそうに笑っていたのは……。 「……ただいま」 そう言って優は私に抱きついた。 ありがとう、って言いながらーー。