「……まぁ、だから雄馬は柚子と付き合う事を選択したけど、柚子と距離を置いた」
「なぜ?」
すると、優は瞳を半月にして笑った。
何も言わず、ただ私に笑顔だけ向けたんだ。
ーーあっ。
その笑顔の意味を考えると、ひとつだけ行き着くものがある。
そうか……。
雄馬は優が帰ってくるって信じてたんだ。
『アイツはアイツなりに俺が戻ってくるのを待ってくれてたんだろうな』
さっき優が言ったのは、そういう意味だったんだ。
「へへっ」
つい笑みが溢れた私を、優は疑問を声に出して私を見やる。
「ん?」
「ううん、なんでもない」
「なにそれ」
困ったように再び笑う、優。
「ねぇ、優」
「なに?」
私は立ち止まって、優と正面から向き合った。
ちゃんと前を向いて言いたかったから。
夕日に照らされた優を見つめながら、私の口は開く。