金魚すくい




「ーーじゃあ遠慮なく」



言いながら私の肩を寄せる優。



「俺は土俵にも上がれていないハンデがあるんだろ? それなら上がるまで邪魔しないでくれよ、雄馬」



涼しげな様子で、私を戸口へと促す。


さぁバイトに遅れてしまうといけない、そう言いながら……。


雄馬は何か言いたげだが、これ以上話していてバイトに遅れる訳にもいかない。



「雄馬ごめんね、また明日!」



不服そうな雄馬を残し、私達は教室を後にした。


その時、ガンッという机が倒れる音がしたが、それはきっと雄馬だろう。


雄馬が机を蹴ったんじゃないかな。


……だけどそれ以上は考えないようにした。


腕時計が16時を指していたからだ。



ーーこれ以上は、バイトに遅刻しちゃう。