金魚すくい



「柚子、今から帰る?」


「あっ、ううん。今日はバイトだから」


「俺もなんだ。それじゃ途中まで一緒に行こう」


「……うん」



嬉しいはずなんだけど、さすがにちょっと最近周りの目が痛い。


だから素直に喜べないや。


鞄に教科書を閉まって、立ち上がろうとした時、



「柚子、帰るのか?」



背後から雄馬がやって来た。



「今日は……」


「柚子はバイトなんだって。家に帰る雄馬とは違うんだ」



優が私と雄馬の間に立ちはだかる。



「なんだぁ? 俺は柚子に聞いてんだ。出てくんなよ」


「あいにく俺もバイトでね。だから柚子と一緒に帰るんだ、邪魔しないで欲しいね」


「誰が許可したよ」


「雄馬とはもう別れたんだろ。それなのに許可を必要とする意味がわからない」


「お前が出しゃばってくる理由もねぇだろ!」


「俺は先に声かけて帰る約束をしてるんだ。雄馬に比べるとまだ正当な理由だろ」


「なんだとっ」



雄馬は優に掴み掛かり、それを止めるため、私は雄馬の腕を掴んだ。



「もぅ、やめてってば!」