「ぶつけたにしても、えらくデカいぞ?」
「そっ、そうなんだー。寝ぼけて立ち上がったら足元に転がってたヘアスプレー踏んじゃって……そのままゴロンって。ベッドの角でうったんだ」
ドクドク ドクドク。
心臓の音、うるさい。
血の気が引いた背中を、一筋の冷たい汗が伝い落ちてゆく。
笑った顔がヒクヒクと引きつってるのも感じる。
だけど、気づかれるわけにはいかない。
特にこの2人にはーー。
目を細めて見つめていた雄馬は、やがて溜め息をもらした。
「お前なっ……部屋くらい片付けろよ」
ああ、部屋が汚いと思っちゃった?
でもそれでいい。
そっちの方が断然いい。
「ははっ、そうだよね……」
雄馬よりも不審な顔を向けていた優も、
「でもそれ、雄馬に言われたくはないんじゃない?」
そう言って雄馬に突っかかった。
「なんでだよっ」
「だって雄馬の部屋、人が住める場所じゃないくらいに汚かったろ?」
「俺はいいんだ、男だからな」
「差別だな」
言い合いを始める2人を、私は笑ってみていた。
ーー助かった。
そう思いながらーー。



