でも、それならどうしてーー?
「それなのに、どうして私と付き合ったの……?」
ずっと思ってた素朴な疑問。
話もしないし、一緒にも帰らない、ましてやデートといったものも一切しない。
なのに形式上では付き合った私達。
なんで私と付き合ったの……?
雄馬は私の髪に大きな手をさらりと這わせ、頭を優しく撫でた。
「いたたっ!」
思わず出てしまった声に、微笑んでいた雄馬の顔が一気に曇る。
「お前、頭どうしたんだ?」
ーーしまった。
「なに? どうしたの」
「いや、コイツの頭にデカい瘤があって……」
「実は昨日、頭ぶつけちゃって……」
焦る。
私は必死に頭を廻らせ、言い訳の言葉を口走る。
だめ、気づかれてはいけない。
訝しがる2人の顔を見ながら、首の後ろからさっと血の気が引いていくのを感じた。