「どういうつもりだ!」



力の抜けた私の腕を振り解き、優が雄馬の胸ぐらを掴む。


さっきまでと形勢逆転だ。


だが、雄馬の表情からは怒りや悪巧みといった曲がったものは見受けられない。


むしろ清々しいものだった。



「勘違いするなよ」


「……どういうことだよ」



優の手を振り払い、シワのついたシャツを直しながら話を続けた。



「これでフェアってことだ」



フェア?



優は眉頭にシワを寄せる。


私もなんの事か分からず、首をかしげた。



「お前に遠慮する必要はなくなったって言ってんだ」


「だからどういう……」



言葉を途中で飲み込み、はっとした表情を見せた。



「お前……まさか、それで……?」



ニヤリと笑った雄馬の笑みに確信を得た優。


2人で理解しあっているが、私には話の入り口すら見えない。



ーーどういう事?