金魚すくい



ゆっくりと優の背中に手を回そうとしたその時、私の手は優の背中を掴む事は出来なかった。


……なぜなら。



「調子のんな!」



雄馬は優の肩を引っ張って、糊付けされていたポスターを勢いよく剥がすように、彼を私から引き離した。


空中で行き場を無くした私の無様な手に、優の驚いた表情。


それを見やって雄馬は不満げな顔を向けた。



「気軽に抱きついてんじゃねーよ」



至近距離で優を睨みつける雄馬。


だけどその表情も、その瞳も、さっきまでとは違っている。


苛立っているけど、戯れ合っているようにも見えるそれは、まるで昔に戻ったみたいだった。



「お前も……って」



雄馬は私に向き直り、



「……何笑ってんだよ、柚子」



理解不能……って顔を私に向けた。