金魚すくい



柔らかい言葉と共に、暖かいものが私の体を包んだ。


ふわりと香しいシャンプーの香りが私の鼻を刺激し、それはほんのついさっきも自分の鼻をくすぐっていた香りだった。


そう思った時、私はやっと気がついた。



今度は優が私に、抱きついているという事にーー。



私は再び溢れそうになる涙を必死に押しとどめる。


胸の奥がチリチリとくすぐられるような感覚に犯されながら。


それがさらに私の涙を助長して、溢れさせようとしている。


だけど、私はそれでも必死に堪えた。



ーー流れ出てしまわないで。



この幸せな気持ち。


温かな想い。


久しく忘れていた喜びを。


もう少し、感じていたい。


噛み締めていたい。


涙が全て洗い流してしまうんじゃないかって、不安になる。


バカバカしいけど、不安になる。


だからこれ以上、溢れてしまわないで。


10年越しに帰ってきたこの幸せな気持ちを、もう少し……もう少しだけーー。