金魚すくい




「不安や絶望」



優。



「そういったものが体よりも心を蝕んで」



優、もういい……もういいよ……。



「何度、心が折れるかと思った事か」



気がつけば、私の足は駆け出していた。



「俺には、すがりたくてもすがるものが何も無かった」



私よりも背が高くなった優の元へ。



「そんな絶望の中で、唯一俺が心を砕かれずいられたのはーー幼い頃の2人の記憶だったんだ……」



早く。


早く優の元へ。


今は子供のように小さくなって、震えている彼の元へーー。



「そんなの……お前には一生、分からないだろ」


「優っ!」



叫びながらも、思いっきりその頭に抱きついた。



大人びた優。


だけどそれは、必死に大人になろうとしていたからなんだね。


そうしないと自分を保つことが出来なかったからなんだね。


ごめんね、気づいてあげられなくて。


悲しい時をひとりで過ごさせて、ごめんね。