金魚すくい





「ある日突然、世界が変わったんだ!」



雄馬の拳が止まる。



「突然知らない土地に連れてこられて、誰にも何も告げることも連絡を取る事も許されず……知らないヤツらの中に放り込まれた俺の気持ちが分かるか!?

年齢偽って、毎日必死に寝る間も惜しんでバイトして、クタクタになっていた俺の気持ちも!

生まれた時から慣れ親しんだ名前も名字も全て名乗る事は許されず、聞き慣れない名前を使うことになった俺の気持ちも!

毎日借金取りに見つからないか、不安と恐怖にかられて生活していた気持ちも!

そんなものが……お前に分かるっていうのかよっ!!」







ーー目頭が震えた……。



熱いものがそこから幾度となく流れ落ちて、今度は心が震えていた。



「……お前には分からないんだ。俺がどれだけ……孤独だったか……」



胸ぐらを握り締めていた手が、ゆっくり解かれてゆく。


優はそのまま壁に背中を預けたままで、ずるずると地面に崩れていった。



「2人の存在が俺にとってどれだけ大切だったか……お前には分からないだろ」