金魚すくい



「ねぇ、優。前に住んでた田舎ってどんなところだったの?」



私達と離れて暮らしていた場所。


借金取りから逃れる為に夜逃げし、行き着いたところ。


気になって問いかけたけど、私はすぐにその事を後悔した。



「どんなところでもない田舎だよ。それまでは行った事も見た事もなかった、何もない、ただの田舎……」



目尻が笑う。


だけどそれは笑ってるのに、痛そうで。



「ーーごめん」



そんな顔見たくなかったのに。


させたくないのに。


馬鹿だ、私は。



ーーどんなところでもない。


ーー何もない。



きっと、全く知らない土地だったのだろう。


突然連れてこられ、知ってる人は誰もいない……そんな土地。



「なんで謝るのさ」



そう言って優は、また笑った。


さっきとは違った、優しい笑顔で。