「優は大人っぽくなったね」
「そう?」
「うん、そうだよ。レストランで見かけた時からそう思ってた」
「それを言うなら柚子だって……」
私はココアの入った缶に口をつけた。
温かくて甘い香り。
それが私の唇に触れた時、優は口を開いた。
「……綺麗になったね」
ーー不意打ちだった。
もう少しでココアを零しそうになった。
だってそう言って笑った優の顔が、ココアよりも甘く、温かいものだったから。
私の胸の中に温かいものが広がって、くすぐる。
相変わらず足は震えていたが、それは痛みのせいなのか、寒さのせいなのか、それともーー。



