「……優はどうしてこんなところに?」
「俺の新しい家、この近くなんだ」
「そう、なんだ……」
ここは家から少し離れた公園。
家の近くにはなるべくいたくなくて、かといって人がいるところにも行きたく無くて……
そしたら私は隣町まで来ていた。
体は痛いし、重い。
遠出する気力もなくて、なんとかやって来れた場所がここだった。
「今からバイト?」
学校の制服ではなく、私服に着替えた優の姿に気づいた。
薄いブルーのシャツに黒のパンツ、そして暖かそうな紺色のコートを羽織っている優。
何もかもが見慣れない姿だ。
「うん。でもちょっと早く出たからまだ時間に余裕あるんだ」
そう言って同じベンチに座った。