「ううん、単に目が乾いちゃって……」
そう言ったところで優の表情は変わらない。
訝しげな、疑っている表情だ。
「……雄馬になにか言われた?」
「違うよ! 雄馬は全く関係ないから。本当に目が乾いちゃっただけだから」
雄馬の名前に私は慌てて訂正する。
一緒に帰ったからそう思ったのだろう。
雄馬にとってはとんだとばっちりだ。
「それならいいけど」
まだ怪しんでいる様子で私を見つめる。
心を読み取ろうとする目。
その目から逃れるように私は顔を逸らした。
心根を覗かれてはいけない。
たとえ優でも……。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…