えっ? ちょっと待って。 「柚子」 立ち尽くす私に、向かいに座る優が振り返り、笑った。 「また明日」 そう言って。 優は再び私に背を向け、女子達の会話に戻る。 何事もないように。 私は一瞬躊躇ったが、鞄を握り締め教室を慌てて出て行った。 優……相変わらず優しいね……。 私が気を使わないように言ってくれたんだよね。 そんな優しさに胸を痛めながら、私は雄馬の背中を追った。