ーーでも。



私は席を立ったところで、動きを止める。


目の前に座る優を見つめて、体は動きを止めたのだ。


相変わらず女子に囲まれている優。


だけど今そばに雄馬がいた事も気づいているだろう。


背中に神経が集中していたように感じるのは私の思い違いだろうか。


いいやそんなはずはない。


だって優は私達に会いにこの街に帰ってきたって言ってたから……。



私は一度、雄馬が出て行った後の戸口を見やり、再び優の背中に視線を戻す。



ーー優。



そう言おうとした時、戸口で顔を覗かせた雄馬。


目を細めてじっと私を見つめた後、明らかな不快オーラを放っていた。


……あっ、今、舌打ちした。


そう思ったと同時に、



「俺、先帰るわ」



雄馬は私に背を向けて再び戸口から姿を消した。