「でも、どうしてこんなに突然帰ってきたの……?」
「借金がね、やっと返済できたんだ。まぁ返済出来たってだけで生活していくのは結構ギリギリなんだけど」
「そう、なんだ……」
なんだか、なんて声をかけてあげればいいのか……。
この10年で優はかなり大人びた。
初めて会った時にも感じたそれは、私達が離れていた間、想像もできないくらい過酷なものだったのだろう。
彼はそれに私達のいないところで1人、戦っていたんだ。
「でもさ、それでもどうしてもここに帰ってきたかったんだ」
ずっと裾を掴んでいた私の手を優は握り締めて、
「俺はずっと柚子や雄馬に会いたかった。あんな別れ方したんだ……だからたとえ2人に拒絶されたとしても、それでも会いたかった」
にっこりと陽だまりの様な笑顔を見せた。
ーー同じだった。
同じ気持ちだったんだ。
私も、私達も、優に会いたかったんだよーー。