金魚すくい



そんな顔、しないでよ。



「ごめんね、連絡できなくて」



優は一瞬何の事だか分からないといった様子で私の顔を覗き込む。


だけどすぐにその意味を理解し、柔らかく表情を崩した。


それはさっきとは違う優しい笑顔。


昔と変わらない麗らかなものだった。



「ああ、こっちこそあんなこっそり忍ばせてごめん。驚かせたね」


「いいの! ただ、戸惑っちゃっただけ。優に会えて嬉しかったよ」



……だからやめてってば。


そんな風に泣きそうな顔で笑わないでよ。


私も泣きそうになるんだから……。



「あそこでは……いつからバイトしてるの?」


「レストラン?」



こくんと一度頷いた。



「あそこは先月からなんだ。こっちに帰ってきたのも先月からなんだけどね」


「家は前とは違うところ……なんだよ、ね?」



遠慮がちに聞いた私に、今度は優がゆっくりと頷いた。